土曜日,お昼前,突然携帯が鳴る。

ぼくの携帯はほとんど鳴ることがない。携帯はいつもどこでも鳴るものだろうから,突然という副詞は相応しくはないのだろうけれど,ぼくの場合には的確な使用方法なのだ。彼の電話はいつでも突然だ。真夜中とか,朝早くとか,こんな変な時間とか。彼は学習塾を経営している。他にもいろんなものを経営しているのだが。

彼の質問,今回は三角関数だった。答えがでない・・と。ぼくがわざわざLINEをPCに入れたのは,彼の質問に応えるためで,そのために彼はダブレットを贈ってくれた。・・・彼はコロナの土曜日。まじめに仕事をしている。まじめな男なのだ。彼の名誉のために付け加えると,彼は文系である。にもかかわらず生徒からの質問には的確に応えてやりたいと思うタチなのだ。いいヤツなのだ。

緊急事態宣言された街に住んでいる友人たちが

会いに来てくれるという約束がお流れになるけれど。

約束そのものがなくなったわけではないから,先延ばしのお楽しみだ。

それまでに,みんなに何かが起こらないことを祈ることが,できることのすべてだ。誰にも何にも祈ることなどない自分が笑える。

この病は間違いなく天災なのだ。けれど今の大騒ぎは,被害の拡大は人災に違いない。政治家なんて,普段の生活が普通に営まれているときには,何の影響も及ぼすことはないけれど。非常時に,自分たちの選択がいかに危ういモノなのかを思い知らされる。

いつまで,どこまで行くのだろうか。